修了生の声vol.2

修了生の声 vol.2

国際税務のスペシャリスト

吉永真子さん

KPMG税理士法人
大学院に進学した理由を教えてください。

 税理士試験の受験勉強に専念する期間を延ばすためです。私は大学3回生の秋から試験勉強を開始したため、大学在学中に税理士試験は4回生の8月の1回しかありませんでした。大学卒業後にそのまま就職し、働きながら税理士試験の合格を目指すよりは、試験勉強の時間を確保できる学生期間を延ばし、短期間で試験勉強を終わらせたいという気持ちがあったところ、大学院で税法専門に研究ができることを知り、税理士試験の相乗効果になると思い大学院に進学することを決めました。

関西大学大学院商学研究科を選んだ理由を教えてください。

 学部時代のゼミの担当教授に大学院への進学を検討していることを相談したところ、辻美枝先生をご紹介いただきました。辻先生は研究者でありながら、税理士としての実務も経験されているため、税理士として働く上で必要なロジックをご指導いただけると思い、関西大学大学院を選びました。

大学院での研究テーマとその概要を教えてください。

研究テーマ:事業保険に関する課税上の諸問題 ―法人税を中心として―

 現在の法人税では、事業保険に関する支払保険料の取扱いが法令で規定されていないこと、通達で定められている取扱いは生命保険契約の権利関係が考慮されていないことなどを問題点として指摘し、米国の制度を参考に、権利関係を考慮した上で法人税、所得税、相続税で整合性のとれた課税方法について検討しました。

大学院で研究を進める上で楽しかったことは何ですか。

 大学院入学後まもなく、文献や条文、判例の読解など難題にぶつかることが多く、入学早々周りの人と比べて後れをとっていると感じることがありました。ですが、こなさなければならない課題と日々向き合ううちに、自然と批判的に物事を考える思考力が身につき、その後の論文執筆に繋がっていったと思います。また、海外の文献に触れる機会などおそらくこの先なかなかないと思いますので、大学院で英語の論文を読むことに手を伸ばしてよかったと思っています。

関西大学大学院商学研究科に進学してよかったこと、身についたことは何ですか。

 就職してから改めて実感しましたが、実務では、まず会社が行った会計処理があり、次に税務調整の有無を判断することになるため、税法だけでなく会計知識も必要不可欠となります。商学研究科では、税法以外の授業に会計科目を多く履修することができるため、会計・税務業界の仕事に必要な知識を、授業を通じて得ることができます。

大学院での研究が、現在の仕事にどのように活かされていますか。

 大学院修了後、税理士法人に就職し、中小企業から大企業まで幅広いクライアントの申告代理業務や税務デューデリジェンス、国際税務といった様々な業務に携わっております。税理士試験では条文を読みやすくした理論を基に勉強することとなりますが、仕事では当然に複雑な条文を読んでいかなければなりません。大学院では日々条文と向き合うことになりますので、条文を読む力に関しては、税理士試験のみを経験された方達とは差がついたスタートを切れたのではないかと思います。また、国際税務に関するアドバイザリー業務を行う際に租税条約と向き合うことがあり、国際課税の授業にて租税条約の読み方などご指導いただいたことが役に立ちました。

大学院進学のために、どのような受験対策や事前準備をされましたか。
特に、出身学部と大学院での専門分野が異なっている場合、特にどのような点に注意して受験準備をしましたか。

 私は商学部出身であり、かつ、当時簿記論と財務諸表論の受験を終えたばかりでしたので、会計科目の受験勉強については大学時代に勉強した知識で対応することができました。税制論については、税法の勉強を始めたばかりで右も左もわからない状態でしたので、辻先生と現役の院生の方にアドバイスを求め、わかりやすくて読みやすい税法の書籍を教えていただきました。書籍を読みつつわからない箇所が出てきたら、税理士試験のために通っていた専門学校の講師の方に質問し、少しずつ税法の知識を広げていきました。多くの書籍に手を出して読み漁るよりも、数冊に絞り何度も繰り返し同じものを読み込む方がいいと思います。

TASプログラムに進学を考えている方へのメッセージをお願いします。

 

 税理士試験の税法免除を考えている方はもちろんのこと、官報合格を目指している方にとってもTASプログラムでは試験勉強とは違った視点で税法を学ぶことができるため、確実に将来の自分のためになることと思います。税理士試験の受験が残っている方でも、試験前は勉強に専念できるように配慮してくださったりと、研究と試験勉強ともに整った環境で過ごせますので、安心して入学してきてください。
 将来同じ業界で働く仲間として共に頑張りましょう!

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