研究内容

私は、学部・研究科で「日本語教育」と「日本語教師養成」を担当しています。外国人留学生に日本語を教えることと、将来日本語教師をめざしている大学生や大学院生を指導することが、私の主な仕事です。さらに学外では、教師養成に携わっている日本語教師教育者のコミュニティを創り、情報交換や意見交換を中心に、日本語教師教育者の経験を共有する活動を続けています。

教育活動と同様、研究領域は、日本語教育学と教師教育学です。また、ディスコース研究を研究の主軸に置いています。日本語教育の場や日本語教師養成の場、これらの場にかかわっている人たち、教師や教育実習生や学習者のナラティブを研究しています。

実は私は、話をすることにとても苦手意識があるのですが、私が教師を続けていられるのも、ナラティブに出会って、ナラティブを研究し、ナラティブを実践してきたおかげだと思っています。人のナラティブを聴きながら、私も少しずつ自分のことを話せるようになりました。このようなナラティブには、私たちが何を考え、どう行動し、何をどう感じているのかが明らかになります。ナラティブに、私たちの「人となり」や「人がら」をうかがい知ることができます。つまり、ナラティブを分析することによって、そのナラティブにかかわっている人について考えを巡らせることができるようになるのです。私が自分のことを理解できるようになったのも、ナラティブを語るようになってからです。

私にとって、研究も教育も、日本語教育にかかわっている人々をよりよく知ること、理解することが、その前提にあります。自分のことを知る、理解するのにも、ナラティブが役立ちます。どんな人も豊かな人生経験と語るべきストーリーがあるはずです。人の経験に耳を傾けながら、自分自身の経験も共有し、人を知る、自分を知る、そして社会を知ることを続けていきたいと考えています。