このたび、初の単著『スイス観光業の近現代―大衆化をめぐる葛藤』(関西大学出版部、2023年2月)を刊行しました。本書は私の博士論文を原型としつつ、これまでの公表してきた複数の論文を一つにまとめたもので、20世紀前半のスイス観光業の歴史的意義を明らかにしようと試みました。
1930年代以降のスイスでは、第一次世界大戦前のように外国人富裕層の旅行様式を前提とする、高水準の観光の維持が限界に達していました。観光業界は大衆化をはじめとする社会的・経済的変動と向き合い、新たな方向性を打ち出す必要に迫られていました。1930年代から40年代前半にかけて、スイスの観光業界は、観光の大衆化と客層の差別化をめぐるせめぎあいの渦中にいました。本書では、第二次世界大戦前から戦後にかけての連続性を重視し、当時のスイス観光業の模索の中から、戦後の西欧諸国で観光の大衆化を促進することになる振興策が生まれてくると主張しました。関心のある方はぜひご覧ください。
書評・紹介等
・『史林』第107巻第3号(2024年5月)に書評が掲載されました。評者は浮網佳苗氏(同志社女子大学助教)です。
・『西洋史学』第277号(2024年6月)に書評が掲載されました。評者は穐山洋子氏(同志社大学教授です。
・『社会経済史学』第90巻第2号(2024年8月)に書評が掲載されました。評者は河村英和氏(跡見学園女子大学教授)です。
・運輸総合研究所メールマガジン(2023年8月1日号)で紹介されました。
・『たびとしょ―旅の図書館News Letter―』Vol. 23(2023年4月号)で紹介されました。
・『日本の古本屋メールマガジン』第367号(2023年3月24日号)で本書を紹介しました。