論文が、Physical Chemistry Chemical Physicsに掲載されました。ぜひ、ご覧ください。
Redox-controlled near-infrared-to-near-infrared optical switching in TPA dimers
Masafumi Yano, Kaito Nakazawa, Sentaro Yamada, Yuta Yamamoto, Tatsuo Yajima, Koichi Mitsudo, and Yukiyasu Kashiwagi, Phys. Chem. Chem. Phys., 2026, 28, 5640-5644
https://doi.org/10.1039/D5CP04771D
Abstract
Thiophene-bridged triphenylamine dimers exhibit two-step near-infrared electrochromism with tunable absorptions extending deep into the NIR-III region. This simple yet powerful molecular design suggests a practical structural boundary for achieving reliable NIR-to-NIR optical switching, offering new insight into how π-extension and charge delocalization cooperatively govern long-wavelength responsiveness.

当研究室で初めてのTPA二量体の論文が公開されました!
研究発足当初は、矢野先生が「とりあえず“1か月テーマ”でやってみーや」とテキトーに扱っていたテーマでしたが、何とか論文公開までこぎつけました。
今回の論文では、チオフェンで橋かけしたTPA二量体が、酸化の進み方に応じて近赤外の吸収をきれいに切り替えることを明らかにしました。スペーサーを伸ばすほど吸収は近赤外のより長波長側へと移っていき、「これはどこまでいけるんや」と期待したのですが、最後は分子のほうが限界を主張。特に最長の系では、単純な長波長化では片づかない“ひとクセある電子状態”が顔を出し、実験結果と計算結果を前に、にらめっこする日々になりました。テーマのスタートは軽かったのに、終わってみれば相当大きな仕事になっていました。
執筆途中も矢野先生は「お前の分子ややこしいんや」と文句ばっかり。こちらも「ほんまにそうなんです」と思いながら、実験結果と計算結果を並べては悩み、説明を書いては消し、また書いては悩む、を何度も繰り返していました。矢野先生も「あまりにも実験結果がわからないので、何度も変な夢を見た!」と言っていたほどで、関係者一同、しっかりこの分子に振り回されたテーマでもありました。
以下、矢野先生からのコメントです。
「なんで、TPAふたつも使って、電子1個しか取らへんねんよ。美しくないなあ」と僕の文句から始まったテーマは、大きな花を咲かせ、そして数多くの謎を残して張本人(中澤)が去ります。せんたろー(山田)がさらに大きな花を咲かせてくれるでしょう。
ぜひ、ご覧ください!

