報告者
総合情報学研究科 3年次 入江穂乃香
渡航先
韓国 大邸(大邸展示コンベンションセンター・慶南大学校)
研究活動期間
2023年8月20日 ~  2023年8月24日

目的・概要


 博士後期課程次世代研究者挑戦的研究プロジェクトの成果を公表するため,The 20th World Congress of the International Fuzzy Systems Association(IFSA2023)に参加し,バーチャルデータ発生型のアンサンブル機械学習クラスタリングpdi-BoostingGの研究発表と情報収集を行ってきた.

現地の様子や渡航を通じて感じたこと


 バーチャルデータ発生型のアンサンブル機械学習クラスタリングは,観測されたデータ空間でクラスを分類する機械学習の手法である.特に,データが不均衡な場合やデータ欠損している場合に,正誤判別データの周辺にバーチャルデータを発生して,データの均一性やデータ存在性を担保して,クラス分類の識別性を向上させる特徴を有している.

 博士後期課程次世代研究者挑戦的研究プロジェクトでは,このアンサンブル機械学習クラスタリングを用いて,試験管内のがん細胞の増殖予測を行う.具体的には,試験管内のがん細胞の触媒初期段階の画像データから2日後の増殖レベルを予測する研究を行っている.この研究では,バーチャルデータの発生方法とアンサンブル機械学習クラスタリングの改善が必要である.

 IFSA2023では,機械学習の研究者が集う国際学会であるので,このアンサンブル学習を研究する研究者も多く参加しており,研究発表を通じて多くの質問を受け,有意義な研究の議論を行った.質問の内容としては,バーチャルデータの発生意味やバーチャルデータの発生方法,他手法都の精度比較,結果の有用性に関する質問を受けた.これらの質問に対して,拙い英語であったが発表スライドを用いて研究内容を詳細に説明し,内容を理解してもらったことはとても有意義であった.特に,バーチャルデータ発生を深層学習のデータ拡張と収縮に関連して発表したので,この点に関して議論が深まったことは今後の研究を進める上で大きな収穫であった.

 また,韓国慶南大学校・黄承國教授と議論も研究を推進する上で大きな意味があった.黄先生は機械学習のビジネス応用に多くの事例を持たれていて,実際のビジネス分野でのデータの取り扱い方法や企業との共同研究の方法について教えてもらった.また,大学での授業の進め方の注意点など,今後,大学に赴任した際に参考となるようなことを多く教えてもらった.

 博士後期課程次世代研究者挑戦的研究プロジェクトでは,がん細胞の画像処理を行う.IFSA2023でも画像処理の研究発表が多くあり,他のセッションに参加してこの分野の最新の研究内容を知ることができたのも大きな収穫であった.黄先生とは,指導教官の林勲先生を通じて,今後も継続して研究の助言を頂くことになっている.黄先生には,IFSA2023の終了後にも関わらず,長時間にわたり丁寧に対応してもらい,夜遅くまで,黄先生の同僚の先生とも合流して研究の議論を行い,機械学習や画像処理の具体的なプログラム処理の内容を説明してもらった. これらの研究発表と黄先生との議論を通じて,アンサンブル機械学習クラスタリングの今後の研究の可能性を見出した.

今後、海外で研究活動をする関大生へ一言


 このプロジェクトでは,海外に渡航して研究をする挑戦を支援してくれます.関大生は,この支援を充分に活かして思う存分海外での研究に活かすチャンスなので,このプロジェクトに感謝をして年に1度は国際発表や国際活動研究を頑張りましょう.海外研究は,指導教員や周りの研究者を頼りながら,少しずつ自分の研究を自立させる良い機会です.