報告者
理工学研究科 2年次 田原一輝
渡航先
カナダ バンクーバー(OMCOS21st)
研究活動期間
2023年7月23日 ~  2023年7月29日

目的・概要


目的:バンクーバーで開催されるOMCOS21stに参加し、有機金属化学を専門とする研究者間での国際的な交流を行う。

概要:有機金属化学に関する国際的な学会であるOMCOS21stに参加し、ポスター発表および講演の公聴を行った。
   およそ50件もの講演と、150件を超えるポスターセッションが行われ、国籍を問わず多くの研究者間で
   活発な議論がなされていた。

現地の様子や渡航を通じて感じたこと


 バンクーバーは夏にもかかわらず、日中が23℃ほどで、とても過ごしやすい気候であった。21時を過ぎるとやっと日が沈み、気温は15℃前後となりとても肌寒く感じた。また、日本と特に異なると感じたことは、お客さんとのコミュニケーションだと感じた。ホテルやレストランの従業員には必ず挨拶をし、冗談を交えながら会話をしている様子をよく見かけた。実際に自分もいくつかそういった場面に遭遇し、コミュニケーションをとる機会があった。

今後、海外で研究活動をする関大生へ一言


 母国語ではない言葉で研究発表をすると、ついつい無機質で一方的な発表になりがちです。もちろん、そのようにフォーマルな発表が良いとされるときもあると思います。

 例えば、日本の学会発表であれば、格式ばったフォーマルな発表が一般的だと思います。時と場合によりますが、海外ではその格式ばったフォーマルな発表が、研究者を惹きつける良いプレゼンテーションとは限りません。

 少なくとも今回参加した学会発表では、発表の合間に笑いが起きたり、聴講者にどの話が聞きたいかと質問を逆に投げかけたりする発表者もいました。研究者として、研究を遂行する能力はもちろん必要ですが、研究を面白く魅せつける能力も等しく重要だと思います。いかに目的や状況に合わせて自分のスタイルを変えることができるのか、その良い機会になると思います。一生懸命発表原稿を覚えて、そのまま発表できることも大事だとは思いますが、相手の立場になってその発表がどうであるのかを考えてみてください。このように文化が違えば、その文化に合わせた自分を作ることが必要な場面が出てくると思います。

 実際に私は、ポスター発表原稿はすべて捨て、ポスターを見に来てくれてくださった研究者と「対話」しながら研究を説明するよう工夫しました。結果として、日本人では唯一のポスター発表賞を受賞することができました。

 しかし今思うと、まだまだ改善すべきだった点はあります。もし英語が苦手で発表が億劫になってしまっている人がいれば、言葉の壁は気にせず、まずは文化の違いを意識して自身の研究と向き合ってみてください。