報告者
外国語教育学研究科 2年次 澤田晶子
渡航先
アイルランド ダブリン(Trinity College Dublin、Dublin City University、アイルランド国立図書館)イギリス 北アイルランド ベルファスト(Queen’s University Belfast)
研究活動期間
2025年10月20日 ~  2025年11月3日

目的・概要


 私はノンフィクション翻訳における翻訳者の社会的役割を訳注の分析を通じて探っている。
 今回の研究目的は、以下3点であった。

1) Trinity College Dublinで開催された国際学会「Human Translators in Focus: Exploring the Human Aspects of Japanese Literary Translation through Sociological Lens」での研究発表
2) Dublin City University(DCU)での研究交流
3) Queen’s University Belfast、Trinity College Dublin、DCUの各図書館、アイルランド国立図書館での資料調査

現地の様子や渡航を通じて感じたこと


 学会(1)では、歴史翻訳書の訳注分析研究について発表した。
 文学翻訳に関わる3日間の学会は、研究発表、講演、翻訳ワークショップと充実した内容で、世界各国の翻訳研究者や文芸翻訳家と和やかに交流しながら、近年関心を集める「翻訳者研究」の知見を広げた。

 DCU(2)は、テクノロジーに関わる翻訳研究が盛んな大学である。
 SALISリサーチセミナーにて自身の研究概要について発表し、博士学生や先生方と意見を交わした。修士の授業聴講では先進的な取り組みを体験した。また、Dorothy Kenny教授や私と近接したテーマの研究者と面会し、交流を深めた。

 4か所の図書館(3)では日本では閲覧が難しい文献の収集を行い、執筆中の文献レビュー論文を大きく進展させる基盤を得た。

 今回、文学からAIテクノロジーに関わる翻訳まで幅広い翻訳研究に触れ、視座を広げると同時に、ノンフィクションの訳注分析を通じて翻訳者の役割を探究する自身の研究の位置付けを確認できた。私をかつて英語へと誘ってくれたラフカディオ・ハーンのゆかりの地、ダブリンで出会った研究者の方々とのご縁を大切に、今後の研究の可能性を広げていきたい。

今後、海外で研究活動をする関大生へ一言


 初の単独海外渡航でした。
 出発直前の帰国便欠航によるルート変更、国境越え列車が大雨で立ち往生、私の力では開かない部屋のドアなどハプニングもありましたが、人の優しさに支えられ、偶然発見した図書館展示が私のテーマと一致という幸運にも恵まれました。
 何より、雨の匂いや晴れ間の眩しさ―五感で体験した異文化は、今後の研究活動に深みを与えるでしょう。

 皆さんの勇気と好奇心も、海外での研究活動をきっと豊かにしてくれます。