報告者
文学研究科 3年次 毛鋼
渡航先
中国 敦煌・ウルムチ市(莫高窟、麦積山石窟、敦煌研究院、玉門関遺跡、新彊ウイグル自治区博物館、ウルムチ市立博物館、天山大峡谷)
研究活動期間
2025年8月10日 ~  2025年8月19日

目的・概要


 本渡航の目的は、中国西域地域に残る歴史文化遺産の現地調査と資料収集である。とりわけ、敦煌莫高窟・麦積山石窟などの石窟群をはじめ、玉門関遺跡や天山大峡谷を実地に訪れ、関連博物館に所蔵される資料を確認することによって、井上靖の歴史小説に頻繁に描かれる西域世界の実像を踏まえ、自身の研究テーマである文学・歴史・文化交流の具体的な背景理解を深めることを目指した。

現地の様子や渡航を通じて感じたこと


 敦煌では莫高窟の壁画や塑像を間近に見ることで、文献研究だけでは得られない空間的なスケール感や造形の鮮やかさを体感した。ウルムチでは、新疆ウイグル自治区博物館や市立博物館において、西域諸民族の生活資料や出土文物を確認し、テキスト史料に記された民族表象との比較を考えるきっかけを得た。現地での調査を通じ、歴史的に形成されてきた多様な文化の交錯とそのダイナミズムを肌で感じることができた。

今後、海外で研究活動をする関大生へ一言


 現地での調査や資料収集は、自身の研究を深めるだけでなく、異文化の中に身を置くことで自己の視点を相対化する貴重な契機となる。とりわけ文学や歴史を専門とする研究者にとっては、現場を歩き、実物に触れ、現地の人々と交流する経験が、作品理解や研究構想に新たな厚みと説得力をもたらしてくれるであろう。