研究概要

エネルギー材料研究室では、“炭素材料”を研究の対象としています。炭素は、はるか昔から燃料としての木炭、鉛筆の芯でおなじみの黒鉛(グラファイト)、そして宝石としてのダイヤモンド、など様々な場面で使われてきました。その一方で、近年フラーレンやカーボンナノチューブの発見によって、これまで用いられてこなかった分野にも炭素材料が応用されるようになってきました。本研究室ではこのような炭素材料の研究を行って新たな炭素の可能性を追求しています。 現在、本研究室では主に次の6つのテーマに取り組んでいます。

① カーボンナノチューブ(CNT)の合成

② 金属イオン電池用の電極材料の開発

③ 各種燃料電池用の電極材料の開発

④ 電気二重層の原理を用いた水処理技術の開発

⑤ 電気二重層キャパシタの研究

⑥ 化学センサの研究

各研究について

① カーボンナノチューブ(CNT)の合成

CNTは炭素の六角網平面を筒状に丸めた構造をしています。本研究室では、CNTの大量合成が可能なCVD法を利用しています。しかし、CVD法で合成されたCNTは結晶化度が低い(つまりあまりきれいなCNTができない)ことが課題になっています。そのため、結晶化度が高いCNTの合成を目指しています。

② 金属イオン電池用の電極材料の開発

リチウムイオン電池(LIB)は負極のグラファイト層間にリチウムイオンが出入りすることで充放電が行われます。しかし、LIBは理論容量に近づいているため高容量化が望めません。そこで、本研究室ではNa+やCa2+などをもちいた新規二次電池の開発を行っています。

③ 各種燃料電池用の電極材料の開発

直接メタノール型燃料電池はメタノールが分解するときに生成する電子を電気エネルギーとして取り出す電池です。従来、白金担持カーボンが触媒として用いられていますが、資源量が少なく高価です。本研究室では白金の使用量を減らすためにCNFを電極に利用する研究を行なっています。また, エタノール型やグルコース型燃料電池への応用も行っています。

④ 電気二重層の原理を用いた水処理技術の開発

電気二重層の原理とは電極に電圧をかけたときに、陽極に陰イオンが、陰極に陽イオンが吸着されることです。この原理を利用して、水溶液から有害な金属イオンを除去する研究をしています。

⑤ 電気二重層キャパシタの研究

化学反応を利用して電気を蓄えている電池と違って、電気二重層の原理を利用して電気を電子のまま蓄えているのが電気二重層キャパシタです。本研究室ではキャパシタの電極に使われている活性炭がキャパシタの性能にどのように影響しているのかを研究しています。

⑥ 化学センサの研究

本研究室で研究している化学センサは検出対象になる物質が触媒と反応するときの電気的な変化をキャッチして検出するものです。触媒をCNTにのせることで反応の感度がよくなると考えられています。