夏季休暇に古墳の測量調査を実施しました。

 さる8月 20 日から9月2日まで、森古墳群 (大阪府交野市)に属する 鍋塚古墳(第6号墳)を 測量調査しました。杭打ち後に平板測量を実施して、実働 12 日間で終了しました 。
 鍋塚古墳は、1996 年と 2000 年に墳丘が発掘調査され、葺石の一部 が検出されました。主軸を南西-北東に向けた、全長約67mの前方後方墳である可能性が指摘されましたが、墳形の確定には至っておりませんでした。また、後方部中央の埋葬施設は、竪穴式石室の一部とみられる石材等が確認されましたが、その規模や構造などの詳細は不明でした。そのため、交野市文化観光課と考古学研究室 では共同調査の形で、鍋塚古墳の墳丘形態と規模の確定、埋葬施設や副葬品の詳細を明らかに したいと考えています。これにより、河内地域において最古と推定される鍋塚古墳、ないしは森古墳群の様相を把握し、古墳時代前期における位置付けや大和などの他地域 との関係も考察することを目的とします。
 今回、次年度以降の発掘調査に向けて、墳丘の再測量を実施しました。測量は、100分の1縮尺で、等高線は25cm間隔で作成しました(過去の測量では50cm間隔) 。その結果、等高線が後方部においてはっきりとした直線を描くことから、前方後方墳であることが確実となりました。また、後方部の南西辺(隅角に近い箇所)に方形の突出が存在し、その形状や大きさも明らかになりました。現在、測量図のデジタルトレース作業と、既往の調査で検出された葺石の位置を今回の測量図に合成する作業をおこなっています。調査 成果がまとまりましたら、あらためてご報告させていただきます。今回の測量では、学部生(1~3年生)が協力して、頑張ってくれたおかげで、予定より少し早めに作業を完了することができました。ご苦労様でした。

図1 森古墳群の分布(交野市教育委員会編『交野市の埴輪』 2007年)

写真1 測量調査の様子