(1) 細菌が産生する膜小胞ーメンブランベシクル

細菌の多くは、自身の細胞外膜や細胞膜の一部を膜小胞として放出します。この小胞はメンブランベシクル(MV)と呼ばれています。MVは直径が30~500 nm程度の非常に小さな小胞ですが、タンパク質や核酸、シグナル物質など様々な菌体由来成分を含んでおり、クオラムセンシングのような細菌間の情報伝達に関与していると考えられています。近年、MVは細菌に作用するだけではなく、私たち宿主にも様々な影響を及ぼすということがわかってきました。

(2) 乳酸菌が産生するメンブランベシクルの生理活性

当研究室では、IgA産生を増強する乳酸菌に着目して研究を進める中で、乳酸菌もMVを産生し、そのMVにもIgA産生を増強する作用があることを発見しました。乳酸菌の腸管免疫系の調節作用が注目されていますが、その作用は菌体自身の作用としてのみ捉えられています。私たちは、菌体だけではなく、MVがもたらす新たな生理活性に注目して研究を進めています。

この乳酸菌のMVがもたらすIgA産生増強作用に関する研究は、関大研究STORIESに取り上げられました。

http://www.kansai-u.ac.jp/kenkyubito/stories/09_yamasaki.html