【第15回うめだ南トラ研究会】 実施レポート

2025年12月4日(木)、第15回うめだ南トラ研究会を MBS毎日放送 AVホールで開催しました。今回は、MBSメディアホールディングスの赤城賢彦様に会場をご提供いただき、研究会後には茶屋町周辺でのフィールドワークも行いました。

1. 奥村与志弘(うめだ南トラ研究会代表)

「南海トラフ地震に関する長期評価について― 2025年9月改訂予定の今後30年以内の発生確率を踏まえて ―」

研究会の冒頭では、代表の奥村与志弘が報告を行いました。奥村は、内閣府「南海トラフ巨大地震モデル・被害想定手法検討会」委員 を務めており、その立場から、
「南海トラフ地震に関する長期評価について― 2025年9月改訂予定の今後30年以内の発生確率を踏まえて ―」
というテーマで話しました。

長期評価の改訂動向や評価手法の背景を踏まえつつ、梅田のような都市において日常の人の動きを把握しておくことが、防災の検討にとってどれほど重要かを示しました。今回の研究会のテーマである「人流把握」とも密接に関わる内容であり、議論の土台となる報告でした。

2. 地域・交通計画研究所 所長 斎藤道雄氏 講演

「都心における人流把握の方法とその事例」

続いて、株式会社 地域・交通計画研究所 所長の斎藤道雄氏より、人流把握に関する講演をいただきました。以下は、講演内容の主なポイントです。


● 講演要旨

(1)なぜ梅田の人流を知るのか

斎藤氏は、「人の動きを見える化することで、街の姿がより立体的に理解できるようになる」と説明しました。

  • どのような人が訪れているのか
  • どこで滞在しているのか
  • それがにぎわいや安全性にどうつながっているのか

といったことを把握するために、人流は大きな意味を持ちます。

また、大阪市の推計によると、平日13時の梅田駅1km圏には22万人が滞留しているとされており、平常時の状況を把握することが災害対応の基盤になると指摘しました。


(2)人流データの多様性

人流データにはさまざまな種類があり、それぞれに特徴があります。

  • 国勢調査や百貨店データなどの統計
  • パーソントリップ調査などの交通データ
  • カメラを用いた観測(NY・ロンドン・大丸有など)
  • スマホ位置情報(モバイル空間統計、Agoop など)

梅田のように広く複雑な都市空間では、複数のデータを組み合わせるアプローチが有効であると説明しました。


(3)国内外の事例

世界でも、人流を活用した街の理解が進められています。

  • NY・タイムズスクエアの歩行者計測
  • ロンドン・オックスフォードストリートでの観測
  • 東京・大丸有地区での長期観測
  • 新宿駅周辺の帰宅困難者数推計

都市の状況を把握するための参考事例として紹介されました。


(4)梅田での具体的な分析例

Agoop データによる梅田エリアの分析では、グランフロント、阪急・阪神、オフィスエリア(OSC など)の各エリアで、滞留人口の性質が異なることが示されました。コロナ期の変化がデータ上にはっきりと表れていた点も印象に残る内容でした。

3. 茶屋町フィールドワーク

研究会後には、MBS様の案内で茶屋町を歩きました。

MBS様からは、ロフト、ユニクロ旗艦店、ZARA などの閉店が続いて話題になっている一方で、アニメイトやガチャポン専門店のような若者向け店舗が増えており、若い世代の来街は依然として活発であることが紹介されました。

また、MBS主催の 「ちゃやまち推しフェスティバル(OshiFes)」に約12万人が来場したことも共有され、茶屋町がサブカルチャーの拠点として大きな可能性を持つエリアであることを実感する時間となりました。

街の歴史から現在のにぎわい、そして未来像までを歩きながら学ぶ、非常に充実したフィールドワークとなりました。