3月は、大学にとってひとつの区切りの季節である。
3月16日には学長奨励表彰が行われ、3月19日には卒業式が挙行された。年度の終わりに、学生たちの歩みをあらためて振り返る機会が続く。
今回の学長奨励表彰では、小学校教員養成課程に在籍する小林勇太さんが表彰された。
詳細は大学の広報にも掲載されている(https://www.kansai-u.ac.jp/ja/about/pr/topics/2026/03/post_88987.html?stt_lang=ja)。
小林さんは、教職課程の学修という決して軽くはない負荷を担いながら、体育会弓道部の中核として競技に取り組み続けてきた。新人戦や関西学生弓道選手権大会での個人入賞に加え、団体としても新人戦優勝、そして全国大学弓道選抜大会での団体優勝(創部初)に大きく貢献している。
学業と競技の両立、という言葉はしばしば使われるが、実際にそれを高い次元で成し遂げることは容易ではない。とりわけ教員養成課程においては、時間的・精神的な負担は決して小さくない。その中で継続的に成果を積み重ねてきた姿は、後輩たちにとって確かな励みになるだろう。
他方で、こうした「個の努力」が成立する背景には、必ずそれを支える環境や関係性がある。以前、ゼミの活動を振り返った際にも感じたことだが、学生の成長は、しばしば教員の想定を超えるかたちで現れる。そこには、個人の資質だけでなく、集団の力がたしかに作用しているように思われる。
そして、3月19日の卒業式。
今年も、ゼミの卒業論文要旨集の巻頭言を書く機会をいただいた。そこに記したことを、少しかいつまんで紹介したい。
今年の卒業生たちは、コロナ禍の影響がなお残る時期に入学し、その回復過程をともに歩んできた世代である。人数は少なかったが、その分、発表や討論は密度の高いものとなり、互いの思考に深く関わり合う時間が積み重ねられていった。
印象的だったのは、彼らの卒業論文がいずれも、「揺らぎの時代における子どもと教育」を真正面から問い直していたことである。不登校、特別支援、外国語教育、ICT、教育労働環境——テーマは多岐にわたるが、それらはいずれも、現代社会の変動と切り離せない問いであった。
しかし、それ以上に心に残ったのは、彼らの方法である。
具体的な事例と理論的枠組み、そして歴史的文脈を往還しながら、自らの言葉で問題を捉え直そうとする姿勢。そこには、安易な答えに流されず、問い続けようとする知的誠実さがあった。
教育は、社会を映す鏡であると同時に、社会をつくり直す営みでもある。
彼らが要旨集に刻んだ問いは、これから先、教壇に立つときも、あるいは別の道を歩むときも、確かな思考の支えになるだろう。
卒業式の場で学生たちの姿を見ながら、毎年のことではあるが、「送り出す」というよりも、「託す」という感覚に近いものを覚える。
それぞれの場所で、それぞれのかたちで、また新しい問いを生きていってほしい。
ご卒業、心よりおめでとうございます。
