第2回 野村芳兵衛研究会
野村芳兵衛の原点である池袋児童の村小学校の教育
―創設100周年を機に―
1. 目的と趣旨
1947(昭和22)年、岐阜市立長良小学校校長に着任した野村芳兵衛(1896–1982)は、西洋教育史の研究者でありコア・カリキュラム連盟を主宰した梅根悟(1903–1980)に、新教育運動における「最後の、そして頂点的な存在」(1952)と評された池袋児童の村小学校(1924–1936)の訓導・主事を務めました。
池袋児童の村小学校(以下、児童の村)は、1924(大正13)年4月に、雑誌社である「教育の世紀社」の同人、野口援太郎・下中弥三郎・志垣寛・為藤五郎によって、池袋に創設されました。2024年は、創設100周年になります。その教育方針は、教育の世紀社が開校時に刊行した『私立池袋児童の村小学校要覧』(1946)によれば、子どもに「四つの自由」である「場所を選ぶ自由」、「時間を選ぶ自由」、「先生を選ぶ自由」、「教材を選ぶ自由」を認め、子ども自身の自由と自発性を徹底化するものでした。野村はその学校で、自分にとっての「新教育」(「真教育」あるいは「信教育」)について追求し熟考したことは、野村の残した著書に著されています。戦後岐阜県に帰郷した野村は、急速に民主主義を推し進める時代の教育を、児童の村で実験し学んだことを基に、公立の小学校で具現する試みを、岐阜市立長良小学校で行いました。
このたびは、児童の村創設100周年を機に、野村の原点である児童の村の教育について語り合います。児童の村は、4人の同人のもとに集められた、野村のような新教育を研究していこうとする教育実践家たちによって、短いながらも真剣に教育を追求した集団でした。あらためて考えることにより、今私たちはどのような教育を行っていくべきなのかを、問い直す機会にできたら幸いです。
2. 開催内容
● 日時 2024年6月15日( 土 )9:15 – 11:45
● 場所 ハートフルスクエアーQ(岐阜市生涯学習センター)2階中研修室
岐阜市橋本1–10–23(JR岐阜駅東)058–268–1050 https://gikyobun.or.jp/heartful/access/
● 参加費 無料
● 主催
野村芳兵衛研究会
2022年度–2026年度 科学研究費・基盤研究(A)「拡張する学校を創る―変革的エージェンシーの形成へ―」(研究代表者:山住勝広、課題番号:22H00084)
● プログラム内容(敬称略)
9:15 – 9:20 冨澤 美千子(横浜美術大学)研究会の趣旨説明
《研究発表》9:20 – 10:40
冨澤 美千子(横浜美術大学) 野村芳兵衛の児童の村ハウスシステム―異学年混合の教育活動の道徳教育―
三好 風太(横浜美術大学) 石野隆の芸術思想と教育
伊東 順真(北海道大学) 児童の村小学校を支えた教育思想―下中弥三郎を中心に―
山住 勝広(関西大学) 野村芳兵衛の生活作文論―池袋児童の村小学校を現代の教育につなぐもの―
《講演》10:45 – 11:15
近藤 宏 私の中のよしべい先生
岐阜市立長良小学校教諭、岐阜大学附属小学校教諭として野村芳兵衛と直接交流をもち、その後、岐阜県公立小学校校長を歴任、現在90歳。
《全体討論》11:15 – 11:45
11:45 閉会
● 参加のお申し込みは、横浜美術大学の冨澤美千子 m-tomizawa [a] yokohama-art.ac.jp([a]を@に変えてください)までお願いいたします。