【開催案内】科研費・基盤研究(A)「拡張する学校を創る」第2回研究会(一般公開、対面+オンライン)のご案内(2022年10月29日、昭和女子大学)

今年度に開始となり今後 5 年間にわたり取り組んでいく研究プロジェクト、2022 年度〜2026 年度 科学研究費・基盤研究(A)「拡張する学校を創る―変革的エージェンシーの形成へ―」(研究代表者:山住勝広、課題番号:22H00084)では、第2回研究会を、昭和女子大学現代教育研究所と共催で、一般公開の研究会として対面+オンラインで下記の通り実施いたします。

●日時: 2022 年10月29日(土)10:00–16:00

●場所: 昭和女子大学 10号館 2階 2S01教室 対面とオンラインのいずれでも参加可

〒154-8533 東京都世田谷区太子堂1-14-29 (西キャンパス・Showa Digital Square)

https://office.swu.ac.jp/campusmap/

正門を通らず西体育館の入り口からお入りください。三軒茶屋駅から徒歩5分ほどです。

●主催:

科学研究費・基盤研究(A)「拡張する学校を創る―変革的エージェンシーの形成へ―」(研究代表者:山住勝広、課題番号:22H00084)

●共催: 昭和女子大学現代教育研究所

●参加申込と参加方法: Peatixにて申込受付 https://peatix.com/event/3351384/view

●参加費: 無料

●プログラム(敬称略)

《研究発表 午前》

10:00~10:20

・冨澤 美千子(横浜美術大学)

「イントロダクション(第1回研究会の振り返り)」

10:30~11:00 意見交換~11:30

・白數 哲久(昭和女子大学)

「子どもと教師が共に作る授業の在り方―米国STEM教育の視点から」

概要:我が国の「ものづくり」の教育にはカリキュラム整備の遅れや,子どもに教材を届ける仕組みが十分に整っていない等の問題点がある。米国STEM教育を研究した結果、1)Artやティンカリングの視点が欠かせないこと,2)操作性の高い教材と適切な教育方法の試行によって子どもは意欲的に手を動かし深く学んでいくこと,3)EngineeringとArtによる学びがScience,Technology,Mathematicsによる学びを呼び起こし相乗効果をもたらす可能性があることが明らかとなった。米国視察を踏まえ、活動理論の視座から、子ども主体の「ものづくり」の場において,教師が子どもの活動を先回りせず後追いしたならば,教師と子どもは共に楽しみながら拡張的学習を作り出すことができるようになることを提起する。

11:30~12:00 意見交換~12:30

・田中 宏明(北海道大学)

「主体の情動や美意識に着目した活動システムモデルの拡張竹田青嗣の欲望論-現象学的アプローチに着目して」

概要:わたしたちは、どのような教育を「よい教育」だと感じ、どのような学びを「よい学び」だと感じているのだろうか。歴史的に形成されてきた教育や学びに対する意味づけや価値観は、現行の活動システムに深く根づいており、自明な前提となっていることがほとんどである。しかし、拡張的学習を実現し、新たな価値を実現していくためには、わたしたちの実感や情動と、既存のシステム間の矛盾に着目し、あらためて対象を問い直す必要があるのではないだろうか。わたしたちの実感、情動のありようからはじめて、自分たちが目指す「いまだここにない学び」の方角を見つけだすには、どうしたら良いのだろうか。ひとつの可能性として、竹田青嗣による「現象学=欲望論的アプローチ」に着目することができる。本発表では、主体の情動にもとづき活動システムを分析できるよう、活動の三角形モデルを拡張するいちアイディアを提案する。

12:30~12:40

《新刊紹介》

山住 勝広(関西大学)

『拡張的学習と教育イノベーション活動理論との対話』ミネルヴァ書房

《休憩》12:40~13:30

《研究発表 午後》

13:30~14:00 意見交換~14:30

・畠山 大(岩手県立大学)

「教師の拡張的学習を支える「概念形成」の特質の解明」

概要:拡張的学習を経験する当事者において、その学習過程で経験する「概念形成」は、当の学習を引き起こす上で極めて重要な意味を持つことが先行研究において指摘されている。この「概念形成」は、どのような活動が生み出されるのか、それによって実践の当事者がどのような拡張的学習を経験するのかで、実際の現れ方は極めて多様である。本報告では、この「概念形成」の実態について、いくつかの学校教師の拡張的学習の事例を基に分析することで明らかにすることを目的としている。この作業は、教師の拡張的学習を駆動させている「概念形成」の特質について明らかにする仮説の形成に貢献するだろう。

14:30~15:20 意見交換と総括~16:00

・山住 勝広(関西大学) 

「活動システムのモデルを用いた学校改革への形成的介入チェンジラボラトリーへの模索」

概要:学校改革への活動理論的な形成的介入(formative intervention)は、教師自身が、学校現場において、変化を創造するイニシアティブを握り、学校の未来をデザインし具現化していくような、いわば自分たち自身による協働の介入を創り出そうとするものである。本発表では、そうした形成的介入の典型的事例として新潟県・上越市立大町小学校の校内研究を取り上げ、「活動システムのモデル」(Engeström, 1987/2015, p. 63)を使って自分たちの活動システムを自分たち自身で分析し、活動の新しい形態をデザインし具現化していく教師たちの集団的な作業に焦点化して、学校改革への形成的介入としての校内研究の可能性について検討する。