おばあちゃんの話(1)

 「フランス語で「おばあちゃん」は « grand-mère »」と習うと思うが、ニュアンスとしてより近いのは « mamie »だろう。 « grand-mère »が「祖母」とすると、 « mamie »は特に子どもが直接呼びかけるときに使う語だから、まさしく「おばあちゃん」という感じだ。ちなみに「おじいちゃん」は « papie »。パピとマミ、幼児語だけあって音もかわいい。 ところで筆者の名前Mamiは、 « mamie »とほぼ同じ発音だ。フランスに留学中、こんなことがあった。大学寮の共同台所兼食堂で日本人の友人と食事をしながら談笑していたところ、同じ寮生で友人の隣の部屋に住むフランス人が深刻な顔をして近づいてきて、私を手で示しながら友人にこう言った。「彼女はまだ若いんだから、マミなんて呼ぶのは意地悪だよ」。友人と私は一瞬きょとんとした後、彼の言っている意味が分かった。「名前がマミなんです」と私が笑いながら言うと、そのフランス人もつい先ほどの私たちと同じように一瞬きょとんとした後、笑顔になった。「なんだ、そうだったのか。よかった」。優しいフランス人青年だった。(フランス言語文化コース教員 塚島)...
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卒論中間発表会報告

 フランス言語文化コースでは、毎年11月末に卒業論文中間報告会を行っています。各ゼミから4年生の代表者1名が選出され、執筆中の卒論について発表を行います。  今年度は11月28日(木)の5限に行われました。ラインアップ(発表会時点での卒論のタイトル)は以下のとおりでした。 マリヴォー劇における不実の容認(友谷ゼミ) フランスにおけるイスラム教徒とライシテの衝突(大久保ゼミ) 女性ファッションと女性の権利の関係性(リコゼミ) ジュール・ヴェルヌ作品における人物像およびネモ船長についての考察(塚島ゼミ) 今年もバラエティに富んだテーマが並びました。 最初に発表者から10分強で自身の卒論のテーマ、構想、内容等についての説明があり、そのあと5分程度の質疑応答が行われました。発表スタイルは特にしばりがなく、各自が自由に工夫を凝らしていました。卒論全体の概要を章ごとにまとめる人もいれば、卒論の本文の抜粋を資料として配る人もおり、パワーポイントでふんだんな図像を見せて楽しませてくれる発表もありました。いずれの発表者も堂々とした話しぶりで、説明も分かりやすく、執筆中の卒論への期待が高まる内容でした。 質疑応答では、教員だけでなく学生からも質問が出ました。発表内容に対してより詳しい説明を求める質問や、矛盾を指摘するコメントなど、さまざまな発言がありましたが、どの発表者も真摯に受け答えをしていて、充実した発表会になりました。  卒論中間発表会は、4年生が準備中の卒論に対して中間評価をもらい、よりよい卒論の完成を目指すという趣旨の行事ですが、同時に3年生以下の学生のみなさんに、本コースにおける卒論のイメージをつかんでもらう重要な機会でもあります。さらに、4年生の発表は、2年生にとってはゼミ選びのための指標となります。 卒論中間発表会に続いては、2年生を対象としたゼミクラスわけ説明会が開かれました。2年生は自分の興味・関心のあるテーマと教員の専門分野との関連性をポイントに、12月にゼミの希望調査票を出すことになります。  卒論中間発表会・ゼミクラスわけ説明会終了後は、ヨーロッパ文化専修全体のセミナーと懇親会が開かれました。4年生にとっては卒論執筆からしばし解放されるひとときだったと思いますが、3年生にとっては卒論(や就活も?)の進め方について4年生にアドバイスをもらったり、2年生は各ゼミについて聞き込み調査をしたりと、学年を超えた貴重な交流の場となりました。...
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