研究室で何を学び、どのように成長する?
「研究」という初めての経験 ー 楽しんでほしいです。
しかし、そのために
(i) 汗を流し、
(ii) 失敗や遠回りを回避せず、
(iii) 仲間と協力し合う
ことが不可欠です。
(i)~(iii)の姿勢を維持して以下に挙げる習慣を身につければ、自身が「今までとは違う何か」に変わりつつあることに気づくでしょう。
1.現象を注意深く観察して記録する習慣
「測定」よりも「観察」が大切です。五感をフルに活動させて観察し、丹念に記録する習慣を身につけましょう。
2.動作原理を理解して装置を注意深く操作し、行なった測定を検証する習慣
実験装置は家電製品や自動車とは異なり、誰でも使えるようには作られていません。
原理を正しく理解しておかないと、データがデタラメなものになったり、データの解釈を誤ってしまいます。
3.データの再現性に責任感を抱く習慣
データの再現性(reproducibility)という言葉を研究室生活の中で何度も耳にすることでしょう。
4.この実験、他の人でも再現できるかなと自分に問う習慣
自分を行ったことを他者に正確に伝えることが如何に難しいかに気付くことでしょう。
5.様々な角度からデータをじ~っと眺める習慣
「実験を行う」だけでは「研究」を行っていることにはなりません。
データを目の前に広げて時間をかけて眺め、ああでもないこうでもないと考える ― これが研究という行為の中で最も苦しく、同時に、楽しいプロセスであるかもしれません。
6.仮説を立て、仮説を証明するために次の実験を計画する習慣
ひとつの実験の完了は、次の実験の出発点に過ぎないことを知ることでしょう。
7.聴く人・読む人の立場に自分を置く習慣
他者に何かを伝えるのは思いのほか難しいです。
そして、どのように伝えるのがよいかを、自身で学び取ることを覚えてほしいです。
8.情報に素早くアクセスする習慣、情報に疑いの目を向ける習慣
情報を収集するには技術が必要ですが、経験を重ねれば重ねるほどその技術には磨きがかかります。
また、手に入れた情報を鵜呑みにしないことが大切です。
9. 研究のオリジナリティーと先人が残した研究成果に敬意を払う習慣
研究は人間の行為にほかなりません。
その認識をベースとしてもっていないと、良い成果を挙げることはできません。
以上を通じて、
- 正解のない問題にアプローチする姿勢・方法(壁にぶつかったときにどうするか)
- 情報との関わり方と、情報発信者としての責任(情報を鵜呑みにしない。他者に正しく説明する責任)
- 他者がなしえたことと他者に対する敬意(あの人がなしとげたことにより、いまの自分がここにいる)
を学ぶことになるので、「技術者」にとどまらず「人間」として生きるうえで必要なことを学ぶことにもなるはずです。