振動音響連成解析

縦波と横波を考慮した時間領域有限差分法(FDTD法)を用いて、床衝撃音を代表とする建築躯体伝搬音予測を行っています。この手法では時間応答を直接計算するため、可聴化や可視化などを行った直感的な予測結果を得ることができます。計算を効率的に行うために、並列処理アルゴリズムの検討も行っています。開発した汎用解析ソフトウェアはVA-FDTDとして公開しています。

床衝撃音の可視化

吸遮音構造開発

高性能で低コストな吸遮音構造を安全に実現するために、非繊維系の材料に着目しています。直径1mm以下の小さな穴をあけた微細穿孔板や軽量なハニカム構造を用い、狙った周波数で音を吸収したり、遮断したりする構造を検討しています。壁や天井に設置するだけでなく、パーティションやインテリアとしても利用できる吸遮音構造を開発しています。

微細穿孔板とハニカムを用いた遮音構造

ハイブリッド音場解析

低周波数と高周波数を異なった理論に基づいて計算し、それらを組み合わせることで広帯域の予測結果を得る手法を開発しています。低周波数は波動音響理論に基づいた手法、高周波数は幾何音響理論に基づいた手法を採用し、それらの結果の組み合わせに用いるフィルタや補正の検討を行っています。コンサートホールなどの大規模空間への適用を目指しています。

コンサートホールの解析モデル

歩行支援デバイス開発

目の不自由な方の歩行支援としては白杖や盲導犬などがありますが、いずれも片手がふさがります。音を通じて、視覚情報を提供することにより両手を自由にしたまま歩行をサポートする技術の開発を行っています。距離センサを用いて近接する障害物を検知する方法やその情報を的確に伝えられる音響信号について検討をおこなっています。

距離情報の可視化

音響メタマテリアル開発

自然界には存在しない特性を持つ人工材料をメタマテリアルと呼びます。光学分野での発展が目覚ましい研究領域ですが、それを音波に適用することを考えています。構造や用途は様々ですが、ソニッククリスタル、フォノニッククリスタルと呼ばれる微細な周期構造や微細な共鳴構造に着目し、高性能な吸遮音構造や拡散壁などへの応用を検討しています。

ソニッククリスタル遮音壁

立体音響システム開発

ヒトは普段から前後左右、そして上下からの音を聞き分けています。このような三次元的な音経験を別の場や別の時間に再現する方法を検討しています。ヘッドフォンやスピーカを用いて、できるだけ簡易にこれを実現できるシステムを目指しています。コンサートホールの設計段階での音響評価やバーチャルリアリティへの応用を検討しています。

6ch簡易立体音響再生システム