タンパク質内包ナノカプセルに関する論文がMacromolecular Chemistry and Physics誌に掲載されました。

私たちのグループで開発した水溶性乳化剤をもちいて,タンパク質を封入したナノカプセルの調製法に関する研究成果がMacromolecular Chemisty and Physics誌に掲載されました。論文の番号が70000というキリ番を踏みました!

双性イオンポリマーであるpoly(2-methcryloyloxyethyl phosphorylcholine)(PMPC)と側鎖の末端にヒドロキシ基を有するpoly[oligo(ethylene glycol)methacrylate](POEGMA)とからなるブロック共重合体は水に溶けるにもかかわらず,水とクロロホルムの油水界面を安定化して乳化剤として機能します。このブロック共重合体をもちいてクロロホルム中に水滴が分散するW/Oエマルションを形成させ,油水界面のブロック共重合体を架橋することで水滴の周りにカプセル膜を形成させることができ,ナノカプセルがえられまる。一般的な親水性と疎水性からなる乳化剤を用いた場合では,このナノカプセルを水中に分散させることが難しいですが,われわれの開発した水溶性乳化剤を用いると,調製したナノカプセルを簡単に水中に再分散させることができます。また,このナノカプセルに酵素であるペルオキシダーゼを封入させると,ほぼ100%カプセル内に封入できることを明らかにしました。

この成果は,薬として働くタンパク質を特定の部位に届けるドラッグデリバリーシステムや,使いたい酵素をタンパク質分解酵素(プロテアーゼ)から保護して夾雑物存在下で機能させるナノバイオリアクターなどさまざまな応用が期待できます。

この論文は,2023年度に修了した清水美結さんの研究成果が元になっています。

Akifumi Kawamura, Miyu, Shimizu, Rika Hirabayashi, Takashi Miyata “Emulsion-Templated Preparation of Protein-Encapsulated Hydrophilic Polymeric Nanocapsules”, Macromolecular Chemistry and Physics, in press.