研究テーマ

 地盤防災工学とは,関連するさまざまな工学・理学分野と協力し,地盤工学の視点で自然災害による被害を軽減すること,合理的に構造物を設計することを目的とする工学分野です.現在,世界規模で地震,豪雨,土砂災害などの自然災害が頻発しています.2023年トルコ-シリア地震では,犠牲者の数は5万人を超えています.わが国においても,2011年東北地方太平洋沖地震や2016年熊本地震,2018年北海道胆振東部地震では非常に大きな人的・物的被害が発生しています.本研究室では,解決が強く求められている社会的問題に挑戦するため,地盤工学および地震工学の観点から研究を行い,安心・安全な社会の構築を目指します.

模型実験の高度化,精密化

 近年,数値解析手法の高度化とともに,その妥当性の検証手段としての模型実験の重要性が高まっています.このための国際プロジェクトLiquefaction Experiment and Analysis Project (LEAP)のメンバーとして,国内外の研究者とともに一斉試験を企画し実施します.
このプロジェクトでは,実験技術の高度化を図るとともに,より高精度な計測方法の開発,模型作成者に依存しない模型作成法の提案などを行います.

地盤に関する数値解析モデルの高度化

 自然斜面由来の土砂災害については,社会的なインパクトが大きいにもかかわらず解析的手法による被災予測はできていません.当研究室では,特に火山灰質斜面の地震時崩壊性地すべりについて,地質学的側面に加え室内要素試験と数値解析を援用し,その発生メカニズムの解明を目指します.

常時微動観測記録と機械学習による地盤構造推定

 地表付近の地震動増幅特性は,局所的な地盤構造の影響を強く受けます.常時微動観測結果を地震動観測記録を機械学習させたモデルに入力し分類することで,高精度な地盤構造推定を行う方法を開発しています.

当研究室に配属される学生へ

研究を進める上で,基礎的な講義内容を学習し習得しておくことは重要ですが,それ以上に大事なのは課題に対する好奇心です.与えられた課題に対し好奇心を持って取り組めるよう自分で考えることが大切です.教員の役目はそれをサポートすることですが,はじめは言われるがまま単純に作業することになるかもしれません.しかし,学部または修士課程での研究論文執筆後には,自信を持って社会人としてスタートできるはずです.