正法寺大仏殿

 正法寺大仏殿は、“岐阜大仏”の名で親しまれる大仏が鎮座する建物で、岐阜市の金華山の麓に所在します。江戸時代に建てられた建物で、大規模な内部空間を持つ構造となっていますが、近代に入ってからその上に二階を増築するという大胆な構造改変を行っています。一方で、濃尾地震や伊勢湾台風といった歴史的な災害を潜り抜けてきました。

 本プロジェクトでは建物の小屋組などにも入り、過去の構造改変や災害後の補強がどのように行われ、それらが有効に働いているかを明らかにします。また振動観測などを行うことで、現状の建物がどのような振動特性を持っているかを調べます。これらの成果を踏まえ、この建物の今後の災害対策の検討に有用な知見を提供していく予定です。

 自然災害の多い我が国においては、建設から数百年を経た歴史的建造物は現在に至るまでに大きな地震や台風を経験してきている可能性が高いです。こうした調査を通して、大規模な災害をいかにして乗り越えてきたかを明らかにすることは、対策を検討する上で必要であるとともに、建物の歴史を知る上でも重要と考えています。

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