回廊は伝統的な木造建築の中で、梁間方向に柱と梁からなる基本架構を持ち、それが非剛床の屋根面で桁行方向に繋がり、長大な全体架構となるという構造的な特徴を持っています。近年、文化財建造物の保存と活用の観点から、いくつかの寺院の回廊で耐震対策が進められていますが、上記の構造的な特徴から回廊そのものの耐震性能を評価することが難しく、適切な対策方法に関しては議論が続いています。本プロジェクトではこうした状況を踏まえ、模型実験を行うことで回廊の振動特性を明らかにし、適切な対策方法の提案を行っていく予定です。本プロジェクトは香川大学の宮本慎宏先生の研究室と共同で行っています。
全体架構を再現した縮小模型は、1/11スケールでも全長4.5mほどとなり、また模型の相似則を考慮した錘を屋根上に載せると約1.5tonの重さになります。振動実験を行い、地震時の挙動などを確認するとともに、数値解析も行い解析結果と実験結果を照合し、適切な解析モデルを検討します。また、模型には、過去に行われてきた補強や今後行われそうな補強も施してみて、補強が振動特性や地震時の挙動にどのように影響するかも検証します。





