研究活動

2021年度

 エジプトでの現地調査は、コロナ禍によって日本人研究者がエジプトに渡航することができなかったため、多くの作業を翌年度に繰り越しました。そのため、作業は国内での作業が中心となりました。
 主には、イドゥートの地下埋葬室からすでに今までに収集している壁画片の復元を進めました。大判プリンターによって壁面の実寸大の印刷を行い、壁画片の実寸大印刷と重ねて、本来の位置での復元を続けています。剥落壁画片3次元データについても、データの複合的な活用のための国内でアプリケーションの改善を図りました。モデル壁画を作成しています。
 メミの地下埋葬室の壁画が想定以上に劣化していることが判明したため、緊急の保全策をサッカラ現地の修復技術者の手によって剥落防止策を講じています。
 また、”Study of Egyptian Monuments”を電子形式で刊行しました。

2022年度

 コロナ禍による海外との交流の禁止が夏季になって解かれ始めたため、日本人研究者が現地エジプトのサッカラ遺跡に赴いて調査を行い、調査を開始しました。また、サッカラの現地実務者の招聘を行い、関西大学で1週間にわたって修復技術の打ち合わせを行い、研究の推進方法を確認しました。
 今までに回収され、ボックスに保管されていた剥落壁画片は、サッカラにおいて本来の位置の復元を行いました。その際、3次元計測によって、イドゥートの地下埋葬室の壁体全体のデータをより精確にしました。また、剥落した壁画片の個々のデータの実測も機器を用いて行いました。

 メミの地下埋葬室の壁画を日本研究者が確認し、カメラによる記録、3次元カメラによる記録などを行いました。
 日本国内においても、サッカラの脆弱な岩盤を補強する実験を継続して行っており、その成果を国際的な論文に公表しています。