景観・樹木を保全した自然斜面の斜面安定工法の開発研究

日本の地形は急峻な山地や谷地が多く、崩壊の危険を孕んでいる斜面が現在約80万箇所以上存在しており、その数は年々増加傾向にある。そして、近年では、豪雨や台風、地震などの自然災害により多くの斜面が崩壊し、甚大な被害を被っている。また、地球温暖化や生態系の破壊などの環境問題に対する観点から自然環境の保全に対する要求が高まっており、今後は斜面の安定化に加えて、周囲の自然環境や景観、環境保全を考慮した斜面安定対策の設計・施工が必要である。そこで、本研究では補強材としてロックボルト・支圧板・ロープネットを併用する工法を提案している。この工法は極力樹木を伐採せずに斜面の安定を図る。本年度は平成26年の広島市豪雨災害で多くのまさ土層が崩壊し被害を出した事を背景に、まさ土層における本工法の適用性及びに支圧板面積の変化と支圧板形状の変化が本工法の補強機構に与える影響を模型せん断載荷試験から明らかにする。